2011年4月10日日曜日

そば包丁のサメ皮の柄作り


日頃お世話になっている女流そば打ち4段さんから、
使い込んだ、こんなそば包丁をお預かりしました。
鍛冶屋作りの、黒打ち尺一、ヒモ巻き柄で、左利き用です。


重さが928グラム、「少し軽くならないか」というコトと、
ヒモ巻き柄を「サメ皮貼りの柄に替えたい」というお話です。


柄のヒモを取ると、こんな姿をしていました。



鍛冶屋作りの包丁は、おしなべて柄の部分が肉厚になっています。
そして、ヒモ巻き用のそば包丁は、その柄を少し幅広に作ります。
この肉厚と幅広で、鍛冶屋は包丁の重量バランスをとっています。

軽量化では、そのバランスを崩さないように気をつけます。


綿ヒモよりも、サメ皮は少し重いので、その分、着装を想定して、
重量バランスを取りながら、包丁の背と柄を削ったカタチです。
100グラム軽くなりましたが、わずかに先重になったので、



ノドの食い込みを心持ち深くしてバランスをとります。


下地の木の柄台を作ってから、それにサメ皮を貼り付けます。
女性の手に合わせたサメ皮の柄を作って、包丁を差し込みます。
差し込んだ包丁が抜けないように、木のクサビを打ち込みます。



サメ皮の柄はしっかりと握れるので、それを本職は好みますが、
その握り感触をさらに心地よいものにするために「手溜まり」を付けます。

握った時に、手のひらの「労宮」のツボが当たる部分に、
真鍮の太鼓鋲を打ち込んで「手溜まり」にします。
使い手と包丁のインターフェイスが、この手溜まりで、
無くてもいいンですけど、有ると微かな快感が生まれます。


ついでに、木鞘も作ってしまいました。



材料は桐板で、刃と背の部分だけを接着して、
包丁の先の部分はスケスケになっています。
そば粉の溜まりを無くし、風通しも良くしています。

差し込み口は、こんなふうになっています。



抜け落ち防止のピンはテーパー作りにしておくと使いやすいです。


テレビの人気リフォーム番組の真似をしますと…

「さて、この包丁の持ち主は、
改造をよろこんでくれるでしょうか」


仕上がったそば包丁の重量は867グラムでした。


そば包丁の改造は、持ち主のコトを考えながらするので、
気を使うので、ムズかしいけれど、おもしろいですねー。






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2 件のコメント:

  1. 投稿も難しいですね?

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  2. 何と云う事でしょう?
    五年間使うことなく放って置かれた
    蕎麦包丁が、再び息をふきかえしたではありませんか

    ヒモ巻きの柄は、立派なサメ皮貼りの柄に変り
    しかも、ツボの当たる部分には、太鼓鋲が打たれ
    握ると微かな快感が?・・ウフ・・・

    おまけい桐の鞘まで?
    包丁の持ち主がこしのほか喜び
    感涙したことは、言うまでも有りません

    萎えていた蕎麦打ちの心に再び灯が点いたひとは
    言うまでも有りません。

    ヒフオーアフター・・大成功であります。

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