日頃お世話になっている女流そば打ち4段さんから、
使い込んだ、こんなそば包丁をお預かりしました。
鍛冶屋作りの、黒打ち尺一、ヒモ巻き柄で、左利き用です。

重さが928グラム、「少し軽くならないか」というコトと、
ヒモ巻き柄を「サメ皮貼りの柄に替えたい」というお話です。
柄のヒモを取ると、こんな姿をしていました。

鍛冶屋作りの包丁は、おしなべて柄の部分が肉厚になっています。
そして、ヒモ巻き用のそば包丁は、その柄を少し幅広に作ります。
この肉厚と幅広で、鍛冶屋は包丁の重量バランスをとっています。
軽量化では、そのバランスを崩さないように気をつけます。
綿ヒモよりも、サメ皮は少し重いので、その分、着装を想定して、
重量バランスを取りながら、包丁の背と柄を削ったカタチです。
100グラム軽くなりましたが、わずかに先重になったので、

ノドの食い込みを心持ち深くしてバランスをとります。
下地の木の柄台を作ってから、それにサメ皮を貼り付けます。
女性の手に合わせたサメ皮の柄を作って、包丁を差し込みます。
差し込んだ包丁が抜けないように、木のクサビを打ち込みます。

サメ皮の柄はしっかりと握れるので、それを本職は好みますが、
その握り感触をさらに心地よいものにするために「手溜まり」を付けます。
握った時に、手のひらの「労宮」のツボが当たる部分に、
真鍮の太鼓鋲を打ち込んで「手溜まり」にします。
使い手と包丁のインターフェイスが、この手溜まりで、
無くてもいいンですけど、有ると微かな快感が生まれます。
ついでに、木鞘も作ってしまいました。

材料は桐板で、刃と背の部分だけを接着して、
包丁の先の部分はスケスケになっています。
そば粉の溜まりを無くし、風通しも良くしています。
差し込み口は、こんなふうになっています。

抜け落ち防止のピンはテーパー作りにしておくと使いやすいです。
テレビの人気リフォーム番組の真似をしますと…
「さて、この包丁の持ち主は、
改造をよろこんでくれるでしょうか」
仕上がったそば包丁の重量は867グラムでした。
そば包丁の改造は、持ち主のコトを考えながらするので、
気を使うので、ムズかしいけれど、おもしろいですねー。
.
投稿も難しいですね?
返信削除何と云う事でしょう?
返信削除五年間使うことなく放って置かれた
蕎麦包丁が、再び息をふきかえしたではありませんか
ヒモ巻きの柄は、立派なサメ皮貼りの柄に変り
しかも、ツボの当たる部分には、太鼓鋲が打たれ
握ると微かな快感が?・・ウフ・・・
おまけい桐の鞘まで?
包丁の持ち主がこしのほか喜び
感涙したことは、言うまでも有りません
萎えていた蕎麦打ちの心に再び灯が点いたひとは
言うまでも有りません。
ヒフオーアフター・・大成功であります。